人類連合とは、1777年の世界崩壊(コンティリー戦役)によって高度な科学文明が失われた後、絶滅の危機に瀕した人類が、種の存続という唯一の目的のために設立した史上初の世界統一政府である。それは武力による征服ではなく、各勢力の自発的な主権委譲によって成し遂げられた歴史的偉業であった。連合は食糧管理、技術保存、人口調整といった生存に不可欠な機能を一元管理し、最終的には地上の汚染から逃れるための壮大な移住計画「アンダー・ヘヴン計画」を主導。人類を永続的な生存拠点となる地下コロニーへと導いた、種の守護者であった。
人類連合は、歴史上に存在した従来の「帝国」とはその本質を全く異にする組織である。その本質は、主権国家の限界を歴史的に証明した末に生まれた、いわば存続に特化した超国家統治機構であった。世界崩壊後の「停滞の時代」がもたらした資源戦争と無秩序への痛烈な反省から、人類連合は生存に不可欠な実務機能――すなわち、食糧管理、技術保存、そして人口調整――を一元的に管理するために設立された。その根本理念は「国家間の対立が世界を滅ぼした」という歴史的教訓にあり、領土や王権といった旧時代の価値観から脱却し、ただ純粋に「種としての生存機能」を維持することに特化していたのである。この組織がどのようにして生まれ、世界を一つに束ねるに至ったのか。その歴史的経緯を次章で詳述する。
人類連合の誕生は、一夜にして成し遂げられたものではない。それは、世界崩壊後の永い停滞と混乱の時代を経て、一部の地域で生まれた統一への機運が、やがて全世界を統合するに至る壮大な物語であった。
新世界暦1777年に勃発したコンティリー戦役は、当時の高度な科学文明を惑星規模で破壊し、人類史における大きな断絶点を刻んだ。この世界崩壊により、人類は前産業革命期レベルの文明にまで後退し、その後約700年間にわたり、残された資源を巡る地域紛争と混乱が続く「停滞の時代」に突入した。この長く暗い時代は、国家という枠組みが種の生存に対していかに無力であるかを証明し、後の人類連合設立へと至る根本的な動機を形成したのである。
人類連合という革新的な構想は、旧文明の中心地であったルーレット地方ではなく、辺境のレベット地方で生まれた。その背景には、両地域の地政学的・歴史的な状況の決定的な差異が存在した。
レベット地方における統一への機運は、まず共通の危機認識から生まれ、やがて具体的な組織へと発展していった。人類連合は、武力ではなく合理的なメリットを提示することで、各勢力を段階的に統合していくという、極めて現実的なアプローチを選択した。