概観（前提まとめ）

• 政体：二院制・議会共和制（議院内閣制）。下院中心の政務運営。
• 州制度：旧王国がそのまま州（State）として残り、高度な自治権を保持。
• 特別行政市：ダルノー市は歴史的経緯から州とは別に特別行政市として独立した地位を持つ。第四次ルーレット戦役でのダルノー奪還の経緯は史料に記載あり。

1. 中央政府の構成と権限

1.1 行政（行政府）

• 首相（Prime Minister）：下院（人民議会）の多数派／連立によって選出され、内閣を率いる。内閣は政策立案・日常行政を担当。
• 大統領（President）：儀礼的・象徴的な地位を基本とする（外交レセプション、国家祝祭の司会など）。ただし「国家非常事態条項」により限定的な否決権・非常時召集権（非常事態宣言の承認、軍最高司令官任命の一時代行等）を持つ。
  • この「限定的強権」は内戦や占領の歴史を踏まえて創設された安全弁で、実務的運用には議会の同意を要する（歴史的に強権化するリスクを抑制）

1.2 立法（議会：二院制）

• 下院（人民議会）：人口比例の代表制。予算・内閣不信任・日常立法を扱う中心議院。主要閣僚はここから出ることが多い。
• 上院（州評議会 / Council of States）：各州が均等代表（基本は各州同一議席数）で送り込む。上院は地方自治の承認事項、州に関する立法（州の自治権に影響する法律）、条約承認などに強い権限を持つ。
  • 重要：旧王国の特権性を考慮し、エスタレスト州・エラブル州など二大勢力には「上院の主要委員長ポストを事実上保証する慣行」が存在する（政治的慣習としての優遇）。

1.3 司法（憲法裁判所等）

• 最高裁に相当する憲法裁判所（Constitutional Court）が連邦法と州法の整合を審査。州の自治権侵害や領土問題（例：ダルノーの地位）を巡る紛争はここで判断されることが多い。

2. 州（State）と中央の関係 — 「高自治モデル」の仕組み

2.1 基本的な自治分野（州の専権事項）

• 教育制度、地方警察、地方税（不動産税等）、地方公務員、文化・言語施策、州レベルの資源開発許認可（ただし戦略資源は連邦監督）
• 州には独自の州議会（unicameralまたは二院制は州により異なる）と州長（Governor）が存在。

2.2 連邦（中央）が持つ分野